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鏡のマリアンちゃん 5
鏡に表れたマリアンはいつものとおり、涙を浮かべていた。マリアンはリサに会うといつもこうなのである。しかし、すぐに気持ちをあらためて彼女に話しかける。
「今日はどんなお話をしようかな。…。そうねぇ、ある海辺の村の話をしましょうか。その村はいつも暖かく冬、めったに雪は降らないの。雪の話は前したからわかるよね。広い海、どこまでもどこまでも遠くまで湖が広がっているの、その水は塩が溶けて、とっても、しょっぱのよ。たくさんのお魚が…小さかったり、大きかったりする魚が泳いでいて、中にはあそこの岩よりのもっと大きなお魚が泳いでいるのよ。島から見て左側に少し大きな島が一つあって、右側には近くには二つの小さな島、遠くのほうには、五つの大きな島があるのよ。真夜中にたくさん釣り船が港から、朝出かけていってお魚を取って、少し離れた港町の市場に運んでいってお昼前に帰ってくるの。別な船は朝早くから釣り人を乗せて運んでいってお昼ごろに帰ってくるのもいるわ。」
そこまで話した後、マリアンはふとまた涙ぐんでしまった。
「マリアンちゃん、また、悲しくなっちゃったの?。お願い、何でいつも私と話しているときとかに涙ぐんでしまうのか、教えて。」
「そのお話をしても今のあなたにはわからないと思うわ。」
「わからなくてもいいから、一応お話をして。一度でわからなかったら、何度でもお話をしてほしいの。あなたの涙を見ると私まで悲しくなってしまうから。」
「じゃあ、何度でも話をしましょう。でも、理解できないと思うわ…。あなたは私のおばあさまなの。正確にはおばあさまだったのね。私がこの宇宙のこの惑星の中で鏡に閉じ込められてから八十年以上たったころ、おばあさまが尋ねていらしたの。私のとても大切なおばあさまはこうおっしゃったのよ。…
『私はこのチップの中の宇宙に入ろうと思うの。そしてあなたのそばに来て人間に生まれ変わろうと思うの。』
『どうして。人間になったら私が鏡から出てくるまでの命も無いのよ』
『私はもう長く生きすぎた。みんなと同じように限りのある命に生まれ変わりたいと思っていたの。』
 私は思い出したの。そういえば大人たちはいつの間にか少しずついなくなっているのを。小さな子供がいなくなるときはみんなで集まって会議をしたりしているみたいだったけど、大人は自分の意思だけでいつの間にか他の命に生まれ変わっていたのね。
『私はこの宇宙が生まれて今までの時間の何百倍も生きてきたわ。正直これ以上は苦痛なのね。たぶんこの気持ちは小さなマリアンにはわからないと思うけどね。』
『でも、おばあさま、人間に生まれ変わったら今までの記憶はなくなっちゃうのでしょ。たとえ、記憶を移そうとしても人間の頭には入りきらないでしょうけどね。』
『それはしょうがないのよ。』
『でも、私のことをわからなくなっちゃうだろうし。』
『そうよ、私は今までの私ではなくなってしまうの。たとえ、あなたが新しい私に前世はマリアンのおばあさんと教えたところでそれは私にとって、全く意味は無いわ。たとえば、他の人が私に別のことを教えて、それを私が信じてしまえばそれが私の前世になるし、別の力が働いて、私の心に別の前世がインプットされてしまえば、それが私の前世になってしまうのよ。だから、新しい私にとって、前世は全く意味が無いものなの…。でも、あなたにとっては今の私も人間になった私も同じなのね。私の前世はあなたにとってたいへんな意味があるのね。どうか、新しい私を見守ってあげて。じゃあ、さようなら。』
そういって、おばあさまは帰られたの。そして、あなたに生まれ変わったのよ。」

つづく

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鏡のマリアンちゃん 4
鏡のマリアンちゃん 3

翌日も幼稚園から帰って、モモちゃんは鏡の前に座った。
「マリアンちゃん、いる?。」
「モモちゃん、こんにちは。今日も景色とか、いろんな人の鏡に映ったいろんな人の顔とか音を見ていってね。もし、気に入るものがあったら、ストップと言って、そこで止めてあげるから。」
鏡の中にいろいろな景色とか人の顔が表れては消えていった。
「あ、ちょっと、待って。それから三つ前。ああ、もう、二つ前ね。それ、それ。その人を映しといて。」
「わあ、いい男ね。こういう子がモモちゃんのタイプ。でも、年が違いすぎるんじゃないの?。」
「タイプっていうよりもただ近所にいる、優しいお兄ちゃんなの。あ、もう、いなくなっちゃった。」
「ま、男の人はあまり、鏡の前にいないからね。」
「ねぇ、三回目のお願いができるって、どんな願いでも聞いてくれるの?」
「できることとできないことがあるわ。それはあなたが言ってみないとわからない。」
「モモちゃん、ご飯できたわよ。」
「じゃあ、またね。」

2.

その村は深い谷底にあった。周りは高い崖になっており、その外には出ることができない。谷の外側は高い木々に囲まれて外側からもその村の存在が誰もわからない状態であった。ただ、そこから離れた町にはかつて、ジャングルの向こう側、深い谷の下に美しい村があったという伝説が語り継がれていただけである。しかしながら、現実にはその村に三十人くらいの人々が五家族、大人が半数、子供が半数いた。
リサは十五歳の女の子。今日も村のはずれの泉にやってきた。
「マリアンちゃん、今日も外の世界のお話を聞かせて。」

つづく

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鏡のマリアンちゃん 3
鏡のマリアンちゃん 2

「いろんなところがあるけど、どうしようか。
 でも、ほとんどが部屋の中の景色よ。
 ま、とりあえず、適当に映してみるから見てみて。」
鏡はいろんな部屋と鏡に向かう女性たちの顔や姿を映していった。
「女の人の顔ばっかりじゃ、つまんない。でも、きれいな人もあるから、いいかもねえ。
 あ、マッチョの男の人もいる。…。きゃ、やめて。見たくなかったわ。」
「こういったの以外だったら、車のサイドミラーからの景色を見てみる?。」
「目がまわりそう。」
「じゃ、こんなのどう?。画像が少し不安定だけど。」
「わあ、きれい。きれいなお城。夕日に輝いた夢の国みたい。あ、でも、消えちゃった。」
「今のはモンサンミッシェル。旅行者の女性のコンパクトの鏡に映ったった姿よ。」
「じゃ、こんなのはどう?。京都の金色に輝く金閣寺よ。」
「きれいねぇ、でも、少し、揺れてるみたい。」
「そばの湖面に映っている姿なのよ。」
「でも、なんだか、つまんない。そうね、音が無いから寂しいのね。音も入れてちょうだい。」
「いいわよ。どう、いい感じでしょ。ああ、そうだ。これで二つの願いをかなえたから、あなたにはあと一度しか、願いをかなえてあげられないわ。もし、この決まりを破ると、私はもう少し長く、鏡に閉じ込められても平気だけど、あなたまで鏡の中に閉じ込められてしまうのよ。」
「みんな、誰でも三回だけしか願いをかなえて…、て、いうか、誰でも三回、願いをかなえてもらえるの?。」
「いいえ、こどもだけよ。それもわたしが願いをかなえてあげたいと思った人だけ、それに原則は一回だけなの。あなたの場合は特別ね。私も理由はよくわからないけど、私の心に三回分という言葉が浮かんできているの。」

つづく

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鏡のマリアンちゃん 2
鏡のマリアンちゃん

「モモちゃん、幼稚園の迎えのバスが来たわよ。」
「じゃ、幼稚園に行かなきゃ行けないから、またね。」
モモちゃんは急いでバスに乗り込んだ。
バスはゆっくり、出発していく。
バスの中から、外を見ていたモモちゃんは、
(あ、また、あの大学生のお兄さんが通っている。
 モモがちっちゃなときに転んじゃって、泣いてたら、やさしくしてくれたお兄さん。…。ふふふ。)
(ああ、お兄さんのガールフレンドになりたいな。でも、ちっちゃいから、相手にしてくれないだろうなあ。…。まあ、いいか。)

幼稚園から帰ったモモちゃんはまた鏡に向かって、
「マリアンちゃ?ん。」
しかし、マリアンちゃんはなかなか、表れない。
「退屈だなあ。
 ママみたいに、お化粧しちゃおうかな。
 口紅を塗って…。
 わっ、はみ出しちゃった。
 左側もついでに大きさをあわせちゃお。
 目にアイシャドー、ふふふ。…。」
「モモちゃん、おまた…。うわっ、化け物。」
「何よ、失礼ね。ママの真似して、お化粧しただけじゃないの。」
「ママに言って、ちゃんと、顔を洗ってらっしゃい。」

何日もの間、モモちゃんは鏡の前に表れなかった。
ある日急に、鏡の前にやってきたモモちゃんは、
「マリアンちゃん、ごめんね、長いこと、来なくって。」
「ママにも鏡の前に行っちゃだめ、と言われていたの。」
「別になんでもないよ。私は世界中のいろんな鏡から外が見えるから、退屈なんか、してないし。
 でも、モモちゃんと話をしてから、楽しかったんで、また、会いたかったのは確かね。」
「えぇ、すご?い。世界中のどこでも見たりできるの?。」
「モモちゃんにも見せてあげようか?」
「見せて、見せて。」
 
つづく

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鏡のマリアンちゃん
鏡のマリアンちゃん

作 pentref white


この物語を「振り逃げプロ野球」と「PENTREF MOR」の読者に捧ぐ

プロローグ

「わぁ、やっと、会えたわ。」
二十歳そこそこのきれいな女の子がいきなり、四十前の男に飛びついた。
「わぁ、どうしたんだ、いきなり。」
男にしてみれば内心うれしかった。
「何するんだよ、いきなり、やめてくれよ。」
しかしながら、思いっきり女の子を抱きしめていた。
「君はいったい、…。
 ああ、待てよ、そういえば。
 いや、まさか、そんなはずはない。
 あれは、15年も前のはずなんだ。
 君はあの時と同じ、姿じゃないか。」

1.

ちっちゃなちっちゃな女の子がとことこと歩いていた。
いきなり、「ことっ」と、こけてしまい、火がついたようにワンワン、泣き出してしまった。
「わぁ、大丈夫か?。」
高校生くらいの男の子がすぐに抱き上げて、優しくなでて、しばらく慰めていた。

「ママー、モモちゃんもお化粧したいよう。」
「だめよ、まだ五つの女の子がそんなことをしちゃあ。」
「ふふふふふ、 あはははははは ひひひひひひ。」
「何、誰?。」
「鏡の中から、少女の笑い声が聞こえてきた。」
「あなた誰よ。」
「あなたこそ誰よ。」
「私、モモちゃん、あなたは。」
「私はマリアンちゃん。」
「どこのいるの、まさか、鏡の中?」
いきなり、鏡の中に同じ年くらいの、目がブルーで髪がブロンドの女の子が表れた。
「どうして、そんなところに入っているの。」
「お仕置きで入れられちゃったの。」
「どんな、悪いことをしたのよ。」
「最初はねぇ、ちょっと、チップをおっことしそうになっただけなんだけど、大人の人にひどく怒られちゃったので、何よ、こんなの落っことしても別にいいじゃない、って、言ってしまったのね。」
 そしたら、『その中にどれだけの命が入っていると思っているんだ。』と、いわれたの。だから、そんな、ちっちゃな命なんて、どうでもいいじゃない、と言ったら、怒られちゃって、『じゃ、いっぺん、その命を見てこい。』と、言われて、この鏡の中に閉じ込められちゃったの。」
「へぇ?、そんな馬鹿なこと。
 でも、いつまで、入れられているの?。」
「もう、百年くらいたったから、あと、百年位かな。
 そうすると、チップを入れてあるスイッチをいったん消す時間が来るからね。」
「へぇ、そんなの長い間、でも、マリアンちゃんって、私と同じくらいの年でしょ。」
「私たちにとって、二百年くらい、一瞬の時にもならないわ。」

つづく

無断転載を禁ず。 作者
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